はじめに
突然、スマートフォンに「お母さまが危篤です。至急ご連絡ください」というメッセージ──。
そんな一報は、誰にとっても混乱と焦りをもたらします。しかしあとで後悔しない行動を選ぶためには、落ち着いて情報を集め、優先順位をつけることが不可欠です。
本記事では、20〜40代の読者が直面しやすい「親や祖父母の危篤」を想定し、連絡・準備・駆けつけの判断基準をわかりやすく解説します。

危篤とは?医師が告げる“回復の見込みが乏しい状態”
医療現場での「危篤」は、担当医が“回復が期待しにくい”と判断したタイミングで告げられます。
医学的に明確な数値基準はなく、バイタルの変動や意識レベルなど総合的に判断されるため、数時間で旅立つケースもあれば数週間持ちこたえるケースもあります。
まず確認したい5つの情報
- 病院名・病室番号
- 面会可能時間と人数制限
- 容体の推定余命(医師や看護師に「今夜が峠か」「数日単位か」などを聞く)
- 延命治療の方針(家族としての意思表示が求められる場合あり)
- 必要な持ち物(身分証・現金・充電器・着替えなど)
最初の3分で上記を聞き取ることで、その後の行動計画が大幅にスムーズになります。
家族・親族への連絡範囲と優先順位
一般的には三親等以内が目安とされ、配偶者・子・孫・兄弟姉妹・甥姪・叔父叔母までが対象です。
- まず近親者へ電話(メール)で要点のみ伝達
- 連絡リストを共有し、複数人で分担して漏れを防ぐ
- 親しい友人や長年の恩人へは「家族の意向に沿って」検討
“駆けつける”か迷ったときの判断チェックリスト
判断項目 | 目安 | 補足 |
---|---|---|
医師の見立て | 今夜が山場 / 数日持ちこたえる | 余命の短さが最優先材料 |
本人の意思 | 面会希望の有無を事前に確認 | ACP(事前ケア計画)がある場合は尊重 |
移動距離と時間 | 片道4時間以内なら即出発 | 航空便最終時間を要チェック |
経済的コスト | 緊急帰省費用・宿泊費 | 家族で負担分担を相談 |
面会制限 | コロナ等で人数制限あり | リモート面会を提案する手も |
厚生労働省のガイドラインも「本人の意思と家族の話し合いを繰り返すことが重要」と強調しています。厚生労働省
仕事・社会的手続きのポイント
- 忌引き休暇は“逝去後”にしか適用されないため、危篤段階では有給取得や欠勤扱いが一般的です。
- 上司への連絡は「身内が危篤で看護が必要」と必要最低限の情報に絞り、業務引き継ぎを簡潔に整理。
- 長期化しそうな場合はテレワークや計画有休への切り替えも相談。
病室でのマナーと声掛け
- 回復を願う前向きな言葉と感謝の言葉を中心に。
- 葬儀の具体的な話題は本人の耳に届かない場所で。
- 医療スタッフへの質問はメモを取り、治療の妨げにならない時間帯に。
まとめ
危篤の知らせは時間との勝負ですが、むやみに焦っても後悔を招きます。
- 情報収集で全体像を把握
- 三親等を目安に連絡網を構築
- 医師の見立てと本人の意思を軸に駆けつけ判断
- 職場との調整で生活基盤を守る
- 病室では温かい言葉と落ち着いた対応を
これらを押さえておけば、心の負担を最小限にしながら大切な人と向き合えるはずです。