はじめに
スマートフォンの画面をスクロールしているうちに、気づけば深夜になっていた──そんな経験を持つ10代は少なくありません。
イギリスのユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の研究チームは、この「SNSに費やす時間」と「心の健康」の関係を検証しました。その結果、利用時間が長いほど鬱症状のリスクが高まり、とくに女子で顕著になることが明らかになりました。

調査の概要
研究者たちは英国の国代表的縦断調査ミレニアム・コホート・スタディに参加した一万人超の若者を対象に解析を実施しました。
平均年齢は14.3歳で、質問票によって1日あたりのSNS利用時間と過去2週間の抑うつ症状を測定しました。
SNS利用時間と鬱症状の関係
SNSを3時間以上使う10代は、1~3時間の利用者に比べて抑うつスコアが有意に高く、5時間を超えると女子では約5割、男子では約3割のスコア上昇が報告されました。
利用時間が増えるほど段階的にリスクが上がる傾向も確認されています。
女性に強く現れた理由
研究チームは、オンライン上の容姿比較やサイバーブリング(ネットいじめ)が女子のメンタルヘルスに与える影響が男子より大きい可能性を指摘しました。
自己肯定感の低下や身体イメージへの不満が鬱症状を仲介するルートとして強く作用していると考えられます。
睡眠不足と自己肯定感の悪循環
利用時間が長い10代は就寝時刻が後ろ倒しになり、総睡眠時間が短縮する傾向が見られました。
さらに、起床後の気分の落ち込みや日中の集中力低下が自己肯定感を下げ、鬱状態を深めると推測されています。
SNSがメンタルヘルスに影響するメカニズム
ブルーライトによる体内時計の乱れ、通知のたびに生じる覚醒反応、比較投稿による劣等感、サイバーブリングのストレスが複合的に作用し、睡眠と自尊感情を介して抑うつ症状に至る経路がモデル化されています。
取り入れやすいセルフケアと環境づくり
夜のスクリーンタイムを21時以降は控える、通知をサイレントモードにする、フォローアカウントを定期的に見直すなどの「小さなルールづくり」が推奨されます。
家庭や学校はデジタル機器の置き場所を共有スペースにする、睡眠の重要性を授業で扱うといった仕組みづくりが有効です。
まとめ
UCLの大規模調査は、長時間のSNS利用が鬱症状と関連し、とくに女子で顕著になることを示しました。
長い利用時間は睡眠不足や自己肯定感の低下、身体イメージへの不満といった要因を通じて、心の健康に影響する可能性があります。
SNSと上手に付き合うためには、利用時間を意識的にコントロールし、十分な睡眠とポジティブな自己評価を保つ環境を整えることが鍵となるでしょう。