雑学 社会

40代が最多!? 広がる「静かな退職」のリアルと職場が抱える課題

はじめに

最近、SNSやビジネス誌などで取り上げられる機会が増えた「静かな退職(Quiet Quitting)」という言葉
派手な辞表提出や転職ではなく、表面上は今までどおり働きながらも、必要最低限の業務しかしなくなる――そんな“仕事との距離の取り方”を選ぶ人が、じわじわと増えています。
特に注目されているのが、企業の中核を担う40代の世代。
働き盛りとも言えるこの層でなぜ“静かにフェードアウト”する人が増えているのでしょうか。この記事では、静かな退職の実態と、企業やマネジメントが抱える課題について掘り下げていきます。

意識が低いビジネスマン

静かな退職とは?

静かな退職とは、正式な退職や転職をするのではなく、「指示された業務だけを淡々とこなす」「残業や新しい業務には消極的」「昇進を目指さない」など、いわゆる“やる気がないわけではないが、熱量を持たずに働く”状態のことを指します。

これは怠けではなく、ワークライフバランスを優先した結果としての行動であり、「会社に尽くすのではなく、自分の生活を大切にする」という価値観の表れでもあります。

40代で多い理由

最近の調査や企業内ヒアリングによると、静かな退職を自覚している層で最も多いのが40代。そこにはいくつかの背景があります。

キャリアの天井を意識する

40代になると、出世コースから外れたり、役職が頭打ちになったりと「自分の未来がある程度見えた」と感じる人が増えます。
モチベーションが下がり、「これ以上頑張っても報われない」という思いから、最低限の働き方にシフトする傾向があります。

家庭や介護との両立

この年代は、子育てや親の介護といったプライベートの負担が増えるタイミングでもあります。
「家庭の方が優先」「仕事は生活の一部」と割り切る意識が高まり、過剰な働き方を避ける人が増えています。

若手との価値観のギャップ

近年の職場では、柔軟な働き方や副業推奨など、若手社員を中心に新しい価値観が浸透してきました。
そこに適応できず、「もう自分の出番ではない」と感じて距離を置く40代社員も少なくありません。

職場に及ぼす影響

静かな退職は個人の自由な働き方の選択とも言えますが、企業側にとっては“見えにくい課題”として無視できない影響をもたらします。

  • 中核人材の熱量が下がることで、チームの活気が失われる
  • 部下や若手の育成に消極的になり、知識や経験の継承が滞る
  • 「静かに辞めていく人」が周囲に連鎖し、全体の生産性が低下する

本人は仕事をきちんとこなしているため、上司や組織が気づきにくく、対策が遅れがちになるのも厄介なポイントです。

企業や管理職ができること

キャリアの再設計を支援する

役職や昇進だけでなく、「専門性を高めるキャリア」「育成に関わるキャリア」など多様な道を示すことで、40代以降の働き方に希望を持たせる工夫が必要です。

定期的な1on1で本音を聞き出す

静かな退職は、表には見えにくい変化です。
日々の1on1ミーティングでモチベーションの変化や不満に早く気づける仕組みを作ることが大切です。

評価制度を見直す

単純な成果主義ではなく、プロセスや組織貢献度、後輩の育成なども評価軸に加えることで、中堅社員のやりがいを支える制度が必要です。

まとめ

静かな退職は、「辞めるわけではないけれど、もうがんばらない」という一種の“自衛”とも言える行動です。
特に責任と変化に挟まれやすい40代は、静かにフェードアウトしてしまいやすい世代です。
企業ができることは、そうした変化にいち早く気づき、対話と柔軟な働き方で“再び火を灯す”ための環境を整えること。
社員がやりがいを失わず、自分のペースで活躍できる職場づくりが、これからの時代のカギになっていくでしょう。

-雑学, 社会
-