はじめに
「コアラはかわいいけど、実は哺乳類の中でも頭が悪い」と聞いたことがある人もいるかもしれません。
果たしてそれは本当なのか?動物としてのコアラの脳の特徴や行動、生存戦略などから、その真偽を探っていきます。

コアラの脳は本当に小さい?
実は、コアラの脳の大きさは体に比べて非常に小さいことで知られています。
体重に対する脳の重さの割合(脳化指数)は、哺乳類の中でもかなり低く、脳が“しわ”の少ない滑らかな構造をしているのも特徴です。
脳のしわは神経細胞の多さや情報処理能力に関係するとされており、しわが少ない=単純な構造という見方もあります。
ユーカリの葉しか食べない理由も?
コアラは基本的にユーカリの葉しか食べません。
このユーカリは毒性があるうえに、栄養価も非常に低い植物。
にもかかわらず、他の食べ物を選ばず、ユーカリだけにこだわっている点を「賢くない」と見る意見もあります。
しかも、ユーカリの葉が水分を多く含んでいるため、あまり水を飲まなくて済むのですが、環境が乾燥すると脱水症状を起こしやすくなるという欠点も。
食べ物の見分けができない?
興味深い実験があります。
コアラの前にユーカリの葉をお皿に乗せて出すと、“皿にのった葉っぱ”だと認識できず、食べようとしないことがあるのです。
これは「自然な形」でしか食べ物として認識できない、という脳の処理能力の低さを示しているとされます。
危険回避も苦手?
コアラは視力や嗅覚が特別に優れているわけでもなく、外敵や危険への対応も鈍い傾向があります。
さらに木の上で生活しているにもかかわらず、木の間をうまく渡れなかったり、地上に降りたときに迷うことも多いとされています。
ただしこれは「バカ」というより、特定の環境に特化して進化してきた結果といえるでしょう。
知能が低い=生き残れない、ではない
たしかに脳の構造や反応を見る限り、コアラは哺乳類の中では学習能力や応用力が低い部類かもしれません。
しかし、数百万年にわたってオーストラリアで生き延びてきた実績があります。
つまり、「環境に適応して生き残る」ことと、「賢い・頭がいい」は別の話ということです。
コアラは「バカだけど生きる術は知っている」動物なのかもしれません。
まとめ
コアラは哺乳類の中でも「脳が小さく、単純で学習能力が低い」とされ、行動にもその特徴が表れています。
しかしそれは必ずしも「ダメな動物」という意味ではなく、環境に特化して無理をしない生き方をしてきた結果でもあります。
かわいらしい見た目とゆったりとした生き方は、ある意味で「賢さとは何か?」を私たちに問いかけているのかもしれません。