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失神した人の足を持ち上げるのはなぜ?「下肢挙上」という応急処置の意味

はじめに

目の前で誰かが突然倒れたり、意識を失ってしまったとき…慌てながらも、足を持ち上げている人を見たことはありませんか?
実はこれ、「下肢挙上(かしきょじょう)」というれっきとした応急処置のひとつです。
なぜ倒れた人の足を持ち上げるのでしょうか?その行動に込められた医学的な意味をわかりやすく解説します。

下肢挙上

下肢挙上とは何か?

下肢挙上とは、失神や血圧の急低下などで意識が遠のいた人に対して行われる、基本的な応急手当の一つです。

仰向けに寝かせた状態で、両足を20〜30cmほどの高さに持ち上げることで、足に溜まっていた血液を重力の力で心臓・脳へ送り返し、意識の回復や血圧の安定を図ろうとするものです。

この対応は、「ショック体位」とも呼ばれ、貧血や軽い脱水、過労などによる一時的な意識消失に効果的だとされています。

なぜ足を上げるとよいのか?

人の血液は重力の影響を受けやすいため、長時間立っていたり疲労や緊張で血圧が下がると、血液が足元に集まりやすくなります。
これによって脳に十分な血液が行き届かなくなり、一時的に意識を失うことがあります。

このとき、足を高くすることで血液を上半身に戻しやすくし、脳の酸素不足を一時的に解消することができるのです。

注意すべき点

下肢挙上は軽度の失神やショックに対して有効とされますが、すべてのケースで適切とは限りません。

以下のような場合には行わない方が安全です。

  • 頭部を強打した可能性がある
  • 頸椎や背骨に怪我をしているかもしれない
  • 呼吸や脈が著しく乱れている
  • 意識がまったく戻らない、または痙攣がある

このようなときは下肢挙上を無理に行わず、すぐに救急車を呼んで専門の医療処置を待つことが最優先です。

身近な応急処置としての下肢挙上

下肢挙上は、医療関係者だけでなく、スポーツの現場や学校、家庭などでも応急的に行える方法として知られています。
実際に、緊張による失神や軽い貧血で倒れた人に対して、応急的に足を持ち上げることで素早く意識が回復する例もあります。

ただし、処置をする際にはあくまで安全を確認しながら行い、呼吸や脈拍に異常がある場合は、ためらわず救急要請を行いましょう。

まとめ

失神した人の足を持ち上げる行動には、「下肢挙上」という医学的な根拠があります。
これは血液の流れを助けて脳への血流を改善し、意識を回復させるための応急処置です。
ただし、怪我や重大な症状が疑われる場合は無理に行わず、早急に専門の医療機関へつなぐことが大切です。

身近な場面でも知っておきたい応急処置のひとつとして、下肢挙上の意味をぜひ覚えておきましょう。

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