はじめに
「津波警報」や「津波注意報」がテレビやスマホに表示されると、不安を感じる方も多いでしょう。
とくに、実際に海が見えない地域にいると、「本当に避難が必要なの?」と迷ってしまうかもしれません。
この記事では、津波警報が出たときの正しい行動と、警報と注意報の違い、さらに震源が遠く離れていても津波が危険な理由についてわかりやすく解説します。

津波警報とは?命を守るために必要な行動
津波警報とは、津波によって人命や建物に甚大な被害が及ぶ可能性があるときに気象庁が発令する緊急情報です。
もしも津波警報(特に「大津波警報」)が発表されたら、ただちに高台や指定の避難場所へ避難しましょう。
- 海岸や河口近くにいる場合はすぐにその場を離れる
- 車ではなく徒歩で、より高い場所へ避難する(渋滞で動けなくなる恐れあり)
- 人を探しに戻らない、一度避難したら戻らない
津波は第1波よりも2波目、3波目のほうが大きくなることも多く、警報が解除されるまで絶対に海に近づかないことが重要です。
津波警報と注意報の違い
津波に関する情報には、「津波警報」だけでなく「津波注意報」もあります。それぞれの違いは次のとおりです。
| 区分 | 津波の高さ目安 | 影響レベル | 行動の目安 |
|---|---|---|---|
| 津波注意報 | 0.2m〜1m程度 | 軽度の被害 | 海岸に近づかない・注意する |
| 津波警報 | 1m〜3m以上 | 中〜重度 | すぐに避難が必要 |
| 大津波警報 | 3m以上 | 甚大な被害 | 高台などへの即時避難が必要 |
注意報でも油断してはいけません。 高さ1mの津波でも人を流す威力があります。
特に河口や湾などは津波が入り込みやすく、予想以上の高さになることもあります。
震源が離れていても津波は来る?
「海外で地震が起きたから日本は関係ない」と思ってしまうのは危険です。
実際に、日本へも影響を及ぼした遠地津波(えんちつなみ)の例はいくつもあります。
遠地津波の事例
- 2010年 チリ地震(M8.8)
- 日本各地で最大1.4mの津波を観測
- 2004年 スマトラ沖地震(M9.1)
- 日本でも潮位変動が確認された
遠くの地震でも、津波は何時間もかけて海を渡ってきます。しかも深い海を進む間に速度が時速700km近くに達することも。
警報や注意報が出たときは、「震源が遠いから安心」と思わず、指示に従ってください。
津波に備えるために知っておきたいこと
- ハザードマップの確認
- 自宅や学校、職場の津波危険区域を確認しておく
- 避難場所の把握
- 近くの高台や公共の避難所を家族で共有しておく
- 定期的な訓練
- 地域の避難訓練に積極的に参加する
- リアルタイム情報の取得
- 気象庁や自治体、防災アプリなどで最新情報を確認

津波警報が出る前に船で出港していた場合はどうすべき?
海に出たあとに津波警報や注意報が発表された場合、船がすでに沖合に出ているかどうかで対応が変わります。
沖合にいる場合(できるだけ遠く・深い海にいる)
津波は、深い海では波の高さが小さく、被害を受けにくいという特徴があります。
そのため、すでに沖合の深い海域にいる船は、むやみに港に戻らず、そのまま沖合に留まることが基本的な対応とされています。
港へ戻ろうとすると、ちょうど津波が岸に到達するタイミングで港に入ってしまい、かえって危険にさらされることがあります。
港の中は波のエネルギーが集中しやすく、船が衝突や転覆を起こしやすくなるためです。
出港直後や岸に近い場合
まだ港からそれほど離れていない場合や浅瀬にいる場合には、すぐに岸に戻り、速やかに避難することが推奨されます。
浅い海や沿岸部では、津波の波高が高くなりやすく、船が流されたり転覆したりするリスクが高まります。
船長や漁業関係者にとって重要なこと
- 津波発表前に出港する際でも、最新の地震情報・津波予測を確認すること
- 無線や衛星通信での情報取得手段を常に持っておく
- 港湾管理者や自治体との連絡体制を整えておく
- 乗組員にも避難ルールや行動マニュアルを共有しておく
津波は自然災害の中でも予測が難しく、海上にいるときにどう行動するかで生死を分けることがあります。
海上での判断は専門家の指示を最優先にし、落ち着いた対応が必要です。
まとめ
津波はたった1メートルでも命を奪う危険があり、遠く離れた震源地からでも日本に到達します。
「津波警報」が出たらすぐに避難し、「津波注意報」でも油断しないことが大切です。
家族で避難ルートや連絡手段を確認しておき、いざというときに命を守れる行動をとりましょう。