はじめに
株式や投資信託などの取引を行うには、証券会社で口座を開設する必要があります。
その際に目にするのが「一般口座」や「特定口座」という選択肢です。
どちらを選ぶかによって、取引後の税金の取り扱いや確定申告の手間が異なるため、はじめにしくみを知っておくと安心です。
この記事では、それぞれの口座の特徴を、できるだけわかりやすくまとめています。
また、2024年から始まった「新NISA」との違いにも軽く触れていきます。

一般口座と特定口座とは?
証券会社の口座には、課税対象となる取引を行うための口座として、以下の2種類があります。
| 口座の種類 | 特徴(税金や管理のちがい) |
|---|---|
| 一般口座 | 利益・損失の計算や確定申告などをすべて自分で行う必要がある |
| 特定口座 | 証券会社が年間の損益計算を行い、報告書を発行してくれる仕組み |
一般口座の特徴
一般口座では、取引記録や売買損益の計算、確定申告までを、すべて投資者自身が行います。
- 利益が出た場合は、自ら計算し、確定申告を行う必要があります
- 損失が出た場合も同様に、自ら処理を行います
- 経費などを細かく管理したい人にとっては、柔軟性がある一方、管理の手間がかかります
この口座は、確定申告の知識がある方や、より自由に取引を管理したい方向けに選ばれることもあります。
特定口座の特徴(2種類ある)
特定口座は、証券会社が取引の記録や損益の計算を代行し、「年間取引報告書」としてまとめてくれる仕組みです。
その中でさらに、以下の2つから選ぶことができます。
特定口座(源泉徴収あり)
- 利益が出た場合、証券会社が税金を自動的に差し引くため、確定申告を省略できることがあります
- 給与所得などとの関係で申告が不要な方も多いとされています
特定口座(源泉徴収なし)
- 年間取引報告書は発行されますが、確定申告は自身で行う必要があります
- 所得の状況や損益通算の希望などに応じて選ばれることもあります
どんなときに選ぶの?
口座の選択は、株式やETF、投資信託などの課税対象となる商品を取引するときに関係します。
新NISA口座はこの対象に含まれません
証券口座開設時に、用途や投資スタイルに応じて、一般口座か特定口座を選択する必要があります。
個別株、投資信託、ETF,について詳しく知りたい方は以下を参考にしてください。
新NISAとの関係について
新NISA(2024年開始)は、特別な非課税制度に基づいた口座であり、一般口座・特定口座とは別に管理されます。
新NISA口座で購入した金融商品から得られる利益(売却益・配当等)は、一定の条件のもとで非課税となるため、一般口座や特定口座で行う課税取引とは制度上区別されています。
そのため、新NISAで取引を行う際には、一般口座や特定口座の選択は発生しません。
新NISAについて詳しく知りたい方は以下を参考にしてください。
米国株と「一般口座」「特定口座」の関係
米国株の取引を、新NISAではない「課税口座」で行う場合
- 一般口座
- 米国株の売買や配当の記録をすべて自分で管理・申告します。
取引履歴や為替差損益、外国税額控除なども自力で処理が必要です。
- 米国株の売買や配当の記録をすべて自分で管理・申告します。
- 特定口座(源泉徴収あり/なし)
- 国内株と同様、証券会社が年間取引報告書を作成します。
証券会社によっては、米国株を特定口座に対応させているところもあります(例:SBI証券、楽天証券など)。
- 国内株と同様、証券会社が年間取引報告書を作成します。
ただし、証券会社によっては一部の外国株(特に新興国株など)は特定口座に非対応なこともあります。事前に確認が必要です。
新NISA制度との違い
- 新NISA口座内で米国株を買う場合(成長投資枠)は、非課税となるため、一般口座・特定口座の分類は関係ありません。
- あくまで、「新NISA以外の通常の課税口座で米国株を買うとき」は、一般 or 特定を選ぶ必要があるということになります。
米国株投資について深く知りたい方は以下を参考にしてください。
まとめ
株式やETF、投資信託などの金融商品を取引する際には、証券口座の種類として「一般口座」または「特定口座」を選ぶ必要があります。
一般口座は、取引記録や利益・損失の計算を自分自身で行い、確定申告を通じて納税する形です。
一方、特定口座では、証券会社が年間の損益を計算して「年間取引報告書」を作成してくれるため、手続きの負担を軽減しやすいという特徴があります。
また、特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」があり、税金が自動で引かれるかどうかや、確定申告の要否などが異なります。
一方で、2024年から始まった新NISA(少額投資非課税制度)は、これらの課税口座とは別に管理される制度で、対象商品による投資利益が非課税になる仕組みです。新NISA口座では一般口座・特定口座の選択は発生せず、それぞれ独立した制度として扱われます。
投資の目的や取引の頻度、ご自身の税務状況に応じて、口座の種類を理解し、適切に使い分けることが大切です。