はじめに
「老後資金、そろそろ考えないと…」
そんなときに耳にする制度のひとつが、iDeCo(イデコ)です。
テレビCMやネットでもよく見かけますが、
「結局なに?どういう仕組み?」「誰でも始められるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、iDeCoの基本からメリット・注意点まで、初心者にもわかりやすく解説します。

iDeCo(イデコ)とは?
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で作る私的年金制度です。
毎月一定額を自分で積み立てて、運用しながら、60歳以降に年金または一時金として受け取ることができます。
最大の特徴は、「掛金が全額所得控除」されるなど、税制上の優遇があることです。
iDeCoは「投資」なの?
iDeCoは、投資型の年金制度です。
積み立てたお金を「運用する」という仕組みになっているため、選ぶ商品によっては値動きによる利益(または損失)が発生します。
つまり、iDeCoは「ただ貯める」だけでなく、投資信託などで資産を増やすことを目指す制度です。
ただし、元本保証型の商品(定期預金や保険)を選べば、価格変動のリスクを抑えることも可能です。
投資信託について詳しく知りたい方は以下を参考にしてください。
iDeCoのしくみ(ざっくり3ステップ)
- 毎月決まった金額を積み立てる(上限あり)
- 会社員、公務員、自営業など職業によって積立限度額が異なります。
- 自分で金融商品を選んで運用する
- 投資信託や定期預金、保険商品などから選びます。
- 60歳以降に受け取る(年金 or 一時金)
- 受け取り時も一定の税優遇があります。
iDeCoの3つのメリット
掛金が全額所得控除(節税効果)
- 毎年の掛金が全額、所得控除の対象となるため、所得税・住民税が軽減されます。
- たとえば、年間24万円の掛金を積み立てた場合、所得に応じて数万円の節税になることも。
運用益が非課税
- 通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、iDeCoでは、運用中に得た利益(利息・配当・売却益)に税金がかかりません。
受取時にも控除あり
- 60歳以降にお金を受け取るときにも、「退職所得控除」や「公的年金等控除」などが適用され、税負担を軽減できます。
iDeCoの注意点
原則60歳まで引き出せない
- 積み立てたお金は原則として60歳まで引き出すことができません。
- 途中で現金が必要になっても取り崩せない点には注意が必要です。
手数料がかかる
- iDeCoには、口座管理手数料(毎月数百円程度)などの運用コストがかかります。
- 加入前に手数料体系を確認しておくと安心です。
投資リスクもある
- iDeCoで選べる商品には、元本保証型(定期預金など)と、価格変動がある投資信託などがあります。
- 選んだ商品によっては、元本割れのリスクもあることを理解しておきましょう。
加入できる人は?
iDeCoは原則20歳以上60歳未満の国民年金加入者が対象です。
加入できるかどうか、また掛金の上限は、職業や企業年金制度の有無によって異なります。
ご自身の勤務先や年金の状況を確認したうえで、無理のない範囲での活用が検討されています。
掛金の上限(月額)
| 区分 | 掛金の上限 | 補足 |
|---|---|---|
| 自営業者・フリーランス(第1号被保険者) | 月6.8万円まで | 国民年金基金との合算上限 |
| 会社員(企業年金なし) | 月2.3万円まで | 企業型DCがない場合 |
| 会社員(企業型DCあり・規約でiDeCo併用可) | 月2万円までなど | 条件によって異なる |
| 公務員 | 月1.2万円まで | 共済年金加入歴に基づく |
| 専業主婦(夫)など(第3号被保険者) | 月2.3万円まで | 配偶者の扶養内であれば加入可 |
2024年の制度に基づいた目安です。最新情報は各金融機関や公的サイトをご確認ください。
加入可能年齢の拡大について
2022年5月の法改正により、iDeCoの加入可能年齢が引き上げられました。
以下のように、条件を満たせば65歳未満まで加入可能となっています。
- 第1号・第2号被保険者(自営業・会社員等)
- 65歳未満まで加入可(条件あり)
- 第3号被保険者(専業主婦(夫)等)
- 60歳未満まで(変更なし)
特に会社員や公務員など、第2号被保険者は、厚生年金に加入していれば65歳までiDeCoを利用することができます。
将来的には「70歳未満までの加入延長」も検討されており、2025年度以降の制度改正で反映される可能性もあります。
こんな人に活用されていることが多い
- 老後資金をコツコツ自分で準備したい方
- 節税しながら長期運用したい方
- 毎月一定額を自動で積み立てたい方
新NISAとiDeCoの主な違いは?
目的・使い道
- 新NISA
- 資産運用・投資による利益の非課税(目的は自由)
- iDeCo
- 老後資金の準備を目的とした年金制度(受け取りは60歳以降)
非課税の対象
- 新NISA
- 投資で得た利益(譲渡益・配当金など)が非課税
- iDeCo
- 運用益が非課税、さらに掛金が所得控除の対象
引き出しのタイミング
- 新NISA
- いつでも売却・出金が可能
- iDeCo
- 原則として60歳まで引き出し不可
税制メリットの違い
- 新NISA
- 利益(売却益・配当)が非課税になる
- iDeCo
- 掛金が全額所得控除
- 運用益が非課税
- 受取時も一定の控除あり
年間の投資上限
- 新NISA
- 年間最大360万円(つみたて120万+成長240万)
- iDeCo
- 職業に応じて月額5,000円~68,000円程度
加入できる人
- 新NISA
- 18歳以上の日本国内居住者
- iDeCo
- 20歳〜60歳未満の国民年金被保険者
取り扱い商品
- 新NISA
- 株式、投資信託、ETFなど(商品数が多く自由度が高い)
- iDeCo
- 投資信託、定期預金、保険商品など(年金向け商品に限定)
手数料
- 新NISA
- 口座開設・維持は無料のことが多い(証券会社による)
- iDeCo
- 加入時・毎月・運営管理費などの手数料が発生する
受け取り方法
- 新NISA
- 売却すればすぐに出金可能
- iDeCo
- 60歳以降に「年金形式」または「一時金」として受け取り
新NISAについて詳しく知りたい方は以下を参考にしてください。
まとめイメージ
| 比較項目 | 新NISA | iDeCo |
|---|---|---|
| 目的 | 資産運用・投資 | 老後資金の準備 |
| 引き出し | いつでもOK | 60歳以降のみ |
| 節税効果 | 運用益が非課税 | 掛金控除+運用益非課税 |
| 投資上限 | 年360万円まで | 月額制・職業別 |
| 対象年齢 | 18歳以上 | 20〜60歳未満 |
投資信託と個別株投資の違いについて、FANG+を例に、お弁当で解説した記事がありますので、以下をチェックしてみてください。
まとめ
iDeCoは、自分の将来に向けて資産をつくるための制度であり、長期的な資産形成と税制優遇を両立できる点が特徴です。
ただし、60歳まで引き出せない点や運用リスク、手数料があることもふまえて、ライフプランや収入状況に応じて無理のない範囲で検討されるのが一般的です。