はじめに
夏場になると食中毒のリスクが高まりますが、その中でも近年注目されているのが「チャーハン症候群」です。
名前はユニークですが、実際には食中毒を引き起こす危険な現象で、原因となるのは「セレウス菌」という細菌です。
しかも、この危険はチャーハンだけでなく、パスタや焼きそばなどの麺類にも潜んでいます。
本記事では、チャーハン症候群の仕組みと、他の危険料理例、予防法について解説します。

チャーハン症候群とは
チャーハン症候群とは、炒飯やピラフなどの米料理を原因とする食中毒の俗称です。
特に、炊いたご飯を室温で長時間放置した後に調理・喫食した場合に発生します。
この症状は、加熱しても死なない「セレウス菌」の毒素によって引き起こされます。
原因となるセレウス菌とは
セレウス菌(Bacillus cereus)は自然界や食品に広く存在する細菌で、特に穀類やでんぷん質の多い食品に付着していることが多いです。
特徴は以下の通りです。
- 耐熱性:100℃で数分の加熱では死滅しない
- 芽胞形成:硬い殻のような形態で長期間生存
- 増殖速度が早い:温かく湿った環境で急速に繁殖
危険なのはチャーハンだけじゃない
セレウス菌は米だけでなく、小麦やトウモロコシなどにも存在するため、でんぷん質の食品は危険です。
特に以下の料理は注意が必要です。
- パスタ(特にミートソーススパゲティ、ナポリタンなど)
- 焼きそばやうどん
- グラタンやラザニア(マカロニを含む)
- 芋類の調理品(ポテトサラダなど)
これらも、調理後に室温で長時間放置すると、セレウス菌が繁殖して毒素を生成します。
症状
セレウス菌による食中毒は「嘔吐型」と「下痢型」に分かれます。
- 嘔吐型:食後1〜5時間で吐き気・嘔吐・腹痛
- 下痢型:食後8〜16時間で下痢・腹痛
特に嘔吐型はチャーハンやパスタなど炭水化物料理に多く見られます。
なぜ真夏に多いのか
夏は室温が高く、炭水化物料理を放置すると短時間で菌が増殖します。
調理後の常温放置や、大量調理した食品の冷まし方が不十分だと、危険度が急上昇します。
予防方法
- 調理後は2時間以内に食べる
- 余った分は小分けにして冷蔵または冷凍
- 再加熱では毒素は分解できないため、保存管理が重要
- 冷蔵庫保存でもできるだけ早く食べきる
まとめ
チャーハン症候群は米料理だけでなく、パスタや焼きそばなどの麺類、じゃがいもを使った料理にも潜む食中毒リスクです。
原因のセレウス菌は加熱では死滅せず、毒素も壊れません。
特に夏場は、調理後すぐ食べるか、速やかに冷蔵・冷凍して安全を守りましょう。