はじめに
かつて日本では、たとえ殺人事件であっても「時効」が存在しました。
つまり、一定期間が過ぎると刑事責任を問えなくなる仕組みがあったのです。しかし現在は、殺人など重大事件について時効は廃止されています。
この記事では、時効がなくなった時期とその背景、そして社会的な影響についてわかりやすく解説します。

殺人事件に時効があった時代
以前の刑事訴訟法では、殺人罪の公訴時効は15年 とされていました。
しかし、重大事件の未解決が社会問題となり、平成16年(2004年)の法改正によって 25年に延長されました。
それでも「時効により犯人が裁かれない」という不安は残っており、さらに議論が続いていきました。
時効がなくなったのはいつから?
殺人などの重大事件について、時効が廃止されたのは2010年(平成22年4月27日) からです。
この日、刑事訴訟法が改正され、死刑にあたる罪(殺人、強盗殺人など)については 公訴時効が撤廃されました。
廃止のきっかけ
- 遺族の強い訴え
- 被害者家族から「時効によって加害者が逃れるのは納得できない」という声が多く寄せられました。
- DNA鑑定の進歩
- 科学技術の発展により、長年経っても犯人特定が可能になったことが背景にあります。
- 社会的関心の高まり
- 1995年の「地下鉄サリン事件」や長期間未解決の殺人事件などを契機に、時効制度の是非が広く議論されるようになりました。
時効廃止後の影響
- 2010年以降に発生した殺人事件は、すべて時効がなくなった
- 改正前の事件でも、時効がまだ成立していなかったものは廃止の対象となった
- これにより、警察や検察は「事件がいつ解決しても裁ける」体制を維持するようになった
まとめ
日本で殺人事件に関する時効が廃止されたのは 2010年4月27日 からです。
それ以前は 15年 → 平成16年改正で25年に延長 → 2010年に廃止 という流れをたどりました。
きっかけは被害者遺族の声やDNA鑑定の進歩、社会的な議論の高まりでした。
今では重大事件に「時間切れ」はなく、犯人がいつ捕まっても裁かれる仕組みになっています。