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デンマークと日本、共に重税国家なのになぜ幸福度に差があるのか?

はじめに

2025年度版の国際比較によると、日本とデンマークは“重税国家”ランキングでほぼ同じ水準に位置しています。

日本の実効課税率は55.945%、デンマークは55.9%(2025年時点)。
数字だけを見れば、国民の負担感は似ているように思えます。

しかし、世界幸福度ランキングではデンマークが2位、日本は55位と大きな差があります。World Happiness Report 2025参照
しかもデンマークは消費税が25%と、日本の10%よりはるかに高いのです。この差はどこから生まれるのでしょうか。

仲良しそうな外国人カップル

デンマークの「高負担・高福祉」モデル

デンマークでは、高い税率がそのまま「安心の土台」になっています。
医療、教育、介護がほぼ無償で提供され、子育て支援も充実。大学まで授業料はかからず、学生は生活費を支援する給付金(SU制度)を受け取ることもできます。
老後の年金や福祉も手厚く、人生のライフイベントにかかるコストを国が大きく肩代わりしてくれる仕組みです。

つまり、国民は高い税金を「社会共通の会費」として納得しやすく、その見返りを日常生活で実感できる環境があります。

日本の「高負担・低リターン」構造

一方の日本では、税率は北欧並みに高いものの、その使い道は年金や医療制度の維持に偏りがちです。

医療費は3割自己負担、大学は有償、子育て支援も限定的。
高齢化による社会保障費の増大に税収の多くが吸収され、現役世代が「負担に見合ったサービスを受けられていない」と感じやすい構造になっています。

さらに、教育費や住宅費の自己負担が大きく、可処分所得が限られることで生活のゆとりが削がれています。
税金や社会保険料で“手取りが減る”一方、その見返りを感じにくいことが幸福度の低さにつながっているといえるでしょう。

消費税の違いに見る「納得感」

デンマークの消費税は25%と高水準ですが、医療や教育が無償であるため、国民は「負担以上のリターンがある」と実感できます。
対して日本の消費税は10%と比較的低いものの、日常生活では医療費や教育費が自己負担として重くのしかかります。
結果として、数字以上に「損をしている感覚」が強くなりがちです。

まとめ

日本とデンマークは数字上は同じ“重税国家”ですが、幸福度ランキングでは大きな差が出ています。
その理由は、税金を通じて得られるサービスの質と範囲にあります。
デンマークでは税金が「安心を買うための費用」として機能する一方、日本では「取られるばかりで見返りが少ない」という意識が広がっているのです。
今後の課題は、単に税率を議論するのではなく、負担に見合った公共サービスを整備できるかどうかにあります。

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