はじめに
ニュースなどで、「加害者は被害者に好意を抱いていた」と報じられることがあります。
本来ならば好意は相手を大切に思う感情のはずですが、なぜそれが攻撃にすり替わってしまうのでしょうか。
この記事では、好意が攻撃に変わる心理的な背景を解説します。

支配欲と独占欲
健全な好意は「相手の幸せを願う」ものです。
しかし、相手を「自分のもの」と捉える支配的な考えに変わると、思い通りにならない状況を脅威と感じます。
その結果、拒絶や無関心に強い怒りを覚え、攻撃に転化してしまうことがあります。
拒絶に耐えられない心理
多くの人は「好意が受け入れられなかった」としても時間とともに受け入れることができます。
しかし、一部の人は拒絶を「自分の存在を否定されたこと」と感じやすく、怒りを相手に向けやすい傾向があります。
“自分のものにならないなら…”という極端な発想
犯罪心理の分野で指摘される「排他的独占欲」と呼ばれる心理があります。
排他的独占欲とは
心理学で指摘される「排他的独占欲」とは、相手を「自分だけのものにしたい」という欲求が極端に強まり、他の誰かと関わることを許さない状態を指します。
- 「自分を選ばないなら存在を否定する」
- 「自分のものにならないなら失わせてしまえ」
といった極端な思考に結びつくことがあり、結果的に攻撃的な行動に至るリスクを高めます。
本来の好意が、相手の自由や意思を奪う形にすり替わってしまうのです。
精神的な問題や衝動性
背景に、妄想的な解釈や強い衝動性、怒りのコントロール不全があるケースもあります。
好意がいつの間にか「裏切り」や「拒絶」という思い込みに変換され、その感情を抑えきれず攻撃に及ぶのです。
まとめ
本来は相手を大切に思うはずの好意が、独占欲や拒絶への耐性の弱さ、極端な発想や精神的な問題によって攻撃へと変わることがあります。
好意と攻撃は本来相容れないものですが、歪んだ心理がそれを結びつけてしまうのです。