はじめに
ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産(仮想通貨)で利益を得た場合、税金の扱いは個人と法人(会社)で異なります。
「会社を作ったほうが節税できるのでは?」と考える人もいますが、必ずしもそうとは限りません。
ここでは、暗号資産の税金について、個人と法人でどう違うのかをわかりやすく解説します。

個人が暗号資産で得た利益の税金
- 課税方法
- 雑所得として総合課税
- 税率
- 所得税(5〜45%)+住民税(10%)
- 最大で 55%近い税率 がかかることもある
- 特徴
- 給与など他の所得と合算されるため、利益が大きいほど高い税率が適用される
- 損益通算ができない
- 株式やFXと違い、暗号資産の損失を他の所得と相殺できない
個人で多額の利益を出した場合、税率が非常に重くなる点が大きなデメリットです。
会社(法人)が暗号資産で得た利益の税金
- 課税方法
- 法人税として課税
- 税率
- 実効税率は約23〜30%程度(資本金や規模によって異なる)
- 特徴
- 暗号資産の利益は法人の利益に合算される形で処理される
- 経費計上が可能
- パソコン購入費、通信費、出張費など事業に関わる支出を経費として計上できる
- 損失の繰越控除が可能
- 赤字になった場合、最長10年間繰り越して翌年以降の黒字と相殺できる
一定以上の利益が出るなら、法人のほうが税率的には有利になるケースがあります。
会社のほうが必ずお得とは限らない理由
- 設立・維持コストがかかる
- 会社を設立するには登記費用や司法書士費用が必要で、毎年の決算・申告には税理士報酬も発生する。
- 利益が少ない場合は逆効果
- 利益が小さいと、法人維持コストが節税メリットを上回る可能性がある。
- 税務調査リスク
- 法人は個人よりも税務署のチェックが入りやすい。
どんな人が法人のほうが有利?
- 年間で数百万円〜数千万円規模の暗号資産の利益が見込める
- すでに事業を行っていて、法人を持っている
- 経費計上できる支出が多い
- 長期的に暗号資産投資を事業として継続する意向がある
まとめ
暗号資産の利益にかかる税金は、個人だと最大55%、法人だと約23〜30% と仕組みが大きく異なります。
ただし、法人は設立・維持のコストがあるため、利益が少ない場合は逆に損になることもあります。
暗号資産でまとまった利益を継続的に得る見込みがある人には法人化が有利ですが、そうでない場合は個人のまま申告したほうが現実的です。