はじめに
防犯意識の高まりから、護身用グッズとして「催涙スプレー」を持ち歩くべきなのでは?との声がネット上で聞こえます。
しかし、「本当に持っていて大丈夫なの?」「法律的に違反にならないの?」と不安に思う方も多いでしょう。
本記事では、日本における催涙スプレーの携帯の扱いについて、法律と注意点をわかりやすく解説します。

催涙スプレーは所持できるのか?
日本では催涙スプレーは銃刀法の規制対象ではありません。
そのため、一般的に「所持しているだけ」で直ちに違法となるわけではありません。
通販や防犯用品店でも購入が可能であり、家庭での防犯目的の所持は認められています。
携帯には注意が必要
ただし、問題となるのは「携帯」する場合です。
- 軽犯罪法
- 「正当な理由なく危険な物を持ち歩くこと」を禁止しており、護身用とはいえ正当な理由がなければ摘発される可能性があります。
- 凶器準備集合罪
- トラブル時に使用目的を疑われる状況では、凶器とみなされる可能性もある。
- 警察の判断
- 職務質問などで催涙スプレーを持っている理由を問われ、「単なる日常携帯」だと正当性が認められない場合があります。
つまり「自宅で保管する」「夜道で不安だから持つ」では判断が分かれやすく、状況次第で違法とみなされる可能性があるのです。
正当な理由とは?
「護身用」という理由は必ずしも十分とはいえません。
- 運送業や警備業など、業務上やむを得ない場合
- 熊の出没地域での自衛目的(熊撃退スプレーなど)
このような特殊な状況であれば「正当な理由」として認められることがありますが、都市部で日常的に携帯するのは難しいと考えてよいでしょう。
使用した場合のリスク
万が一、催涙スプレーを使って加害者にケガを負わせた場合、「正当防衛」が成立しなければ傷害罪に問われるリスクもあります。
護身具として販売されていても、使い方を誤れば自分が処罰対象になる可能性があるのです。
海外での扱い
国によって催涙スプレーの扱いは大きく異なります。
- アメリカ
- 多くの州で自己防衛用の催涙スプレーの携帯が認められている。
ただし容量や成分に規制があり、州ごとにルールが異なる。
- 多くの州で自己防衛用の催涙スプレーの携帯が認められている。
- ヨーロッパ
- 国によって対応が分かれる。
ドイツやフランスでは「自己防衛目的」で一定の条件下なら所持可能だが、イギリスでは原則として違法にあたる。
- 国によって対応が分かれる。
- アジア
- 韓国や中国では厳しい規制があり、正当な理由なく携帯することは難しい。
このように、海外では「護身具」として一般的に認める国もあれば、日本と同じように制限が厳しい国もあり、国ごとの法律文化の違いが反映されています。
まとめ
日本では催涙スプレーの所持自体は違法ではないものの、携帯や使用には大きな制約があります。
一方でアメリカの一部やヨーロッパの国々では護身具として認められるケースもあり、国ごとに考え方はさまざまです。
いずれにしても「護身用だから大丈夫」と安易に考えるのではなく、法的なルールとリスクを理解したうえでの行動が不可欠です。