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メス単体での繁殖「単為生殖」が可能なワモンゴキブリとは?

はじめに

多くの生き物はオスとメスが交尾をして繁殖しますが、中にはメスだけで子どもを生み出せる種も存在します。
その仕組みを「単為生殖(たんいせいしょく)」と呼びます。実は、身近な害虫として知られるワモンゴキブリもこの単為生殖が可能です。

この記事では、ワモンゴキブリの繁殖の特徴と単為生殖について解説します。

ワモンゴキブリ

ワモンゴキブリとは

ワモンゴキブリ(学名:Periplaneta americana)は、世界中に広く分布する大型のゴキブリです。
成虫は体長3〜5cmほどで、日本でも都市部を中心によく見られます。
寿命は1〜2年と比較的長く、繁殖力が非常に強いのが特徴です。

単為生殖とは

単為生殖とは、メスがオスと交尾せずに卵を産み、子どもを生み出す繁殖方法のことです。
通常は遺伝的多様性を得るために有性生殖が行われますが、単為生殖はオスが不在でも繁殖できるため、生存戦略として有利に働くことがあります。

ワモンゴキブリの単為生殖

ワモンゴキブリは通常、オスとメスが交尾して繁殖します。
しかし、長期間オスがいない環境下では、メスだけで卵鞘(らんしょう)を産み、そこから子どもがかえることが確認されています。

この単為生殖によって生まれる子どもは基本的に母親と同じ遺伝情報を持つため、多様性は生まれませんが、繁殖そのものは可能です。
そのため、たとえ一匹のメスが侵入しただけでも、やがて数を増やしてしまうリスクがあるのです。

他のゴキブリとの違い

日本でよく見られるクロゴキブリやチャバネゴキブリは、オスとメスが交尾をする「有性生殖」で子孫を増やしていきます。
つまり、通常のゴキブリはオスとメスがそろわなければ繁殖できません。

これに対して、ワモンゴキブリは有性生殖に加えて単為生殖もできるため、繁殖力という点で一歩抜きん出ていると言えるのです。

繁殖力の脅威

ワモンゴキブリは1匹のメスが一生の間に数百匹もの子どもを残すことができます。
単為生殖まで可能となると、駆除が難しい理由のひとつになるのも納得できます。

飲食店や家庭で見つかると「すぐに数が増える」と言われる背景には、この繁殖力の強さがあるのです。

まとめ

ワモンゴキブリは、オスとの交尾による有性生殖だけでなく、メス単体でも子どもを産める「単為生殖」が可能な生き物です。
この特性によって、たとえ少数が侵入しても短期間で数を増やしてしまう可能性があります。
日常生活における衛生管理や駆除の重要性がよくわかる特徴だと言えるでしょう。

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