テレビなどで、水中のシーンや溺れるシーンを見ると自分も息苦しくなるのはどうして?

2023年7月6日

ドラマなんかでよく見るけど、水中で溺れるシーンとか見てると苦しくなるんだ

わかる!水中から顔を出した途端、自分も息が楽になるんだよね

どうしてなんだろ?誰でもそうなるのかな?

鏡ニューロンが関係している

テレビで水中シーンや溺れるシーンを見るときに息苦しさを感じる現象は、おそらく「鏡ニューロン」の働きに関連しています。

鏡ニューロンは、他人の行動や感情を観察したときに活動する特殊なニューロン(脳の神経細胞)です。
これらのニューロンは、自分自身がその行動をとっているかのように反応し、他人の行動や感情を「共感」することを可能にします。

例えば他人が苦しんでいるのを見ると、私たちはそれを理解し、感じることができます。
これは鏡ニューロンがその苦しみを模倣し、自分自身がその状況にいるかのように反応するからです。

このように、水中にいる人や溺れている人を見ると鏡ニューロンが反応し、その人が経験している呼吸困難を自分自身が感じるように反応することがあります。
これが、テレビで水中シーンを見ると息苦しく感じる理由の一つと考えられます。

もっと詳しく…鏡ニューロンについて

鏡ニューロンについて、もっと詳しくご紹介します。

鏡ニューロンは、私たちの脳の中に存在する特別な神経細胞です。
これらのニューロンは、私たちが他の人の行動を観察したときや、その行動を想像したときに活動します。

さらに鏡ニューロンは、自分自身がその行動を行っている時にも活動します。
つまり見る、想像する、行う、これら全ての状況で同じニューロンが活動するのです。

鏡ニューロンは、もともとイタリアのパルマ大学で行われたマカクザルの研究中に偶然発見されました。
研究者たちはマカクザルの脳を観察していて、マカクザルがピーナッツを取る行動と、その行動を見るだけで同じ脳領域が活動することに気付きました。

この発見から鏡ニューロンは人間の社会的行動、特に共感や学習に重要な役割を果たしていると考えられています。

たとえば他人が笑っているのを見ると、私たち自身が幸せに感じる傾向があります。
これは笑っている人を見ると、私たちの鏡ニューロンが反応し、その幸せな感情を模倣するからです。

また新しいスキルを学ぶとき、他人がその行動をとるのを見ることで、私たち自身がその行動をとる方法を学ぶことができます。

まとめ

水中の中や、溺れている人のシーンを見ると自分も息苦しくなる…これは鏡ニューロンという脳の神経細胞が関係していることがわかりました。
鏡ニューロンは、自分自身がその行動をとっているかのように反応し、他人の行動や感情を「共感」するのです。
自身がその状況の中にいるかのように反応してしまうのですね。

ただし鏡ニューロンの具体的な働きやその役割については、まだ完全には解明されていない部分もあります。
例えば、自閉症スペクトラム障害の人々が社会的な認識や共感に困難を抱える原因が鏡ニューロン系の機能障害によるものであるかどうか、などの説も存在しますが、これについては科学的な合意には至っていません。

それでも、鏡ニューロンは人間の脳と行動の理解において非常に重要な役割を果たしていると考えられており、その研究は今後も進行していくでしょう。

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