はじめに
「目にもがんができる」ということは、あまり知られていません。
その中でも脈絡膜悪性黒色腫は、まれではありますが、命に関わる可能性がある重要な病気です。
初期には自覚症状が少ないため、発見が遅れることもあります。
この記事では、脈絡膜悪性黒色腫とはどんな病気なのか、原因・症状・治療の考え方までをわかりやすく解説します。

脈絡膜悪性黒色腫とは?
脈絡膜悪性黒色腫とは、目の奥にある「脈絡膜」に発生する悪性の腫瘍(がん)です。
メラニン色素を作る細胞ががん化するため、「黒色腫」と呼ばれます。
脈絡膜は、
- 網膜の外側にある
- 血管が非常に豊富
- 視覚を支える重要な組織
という特徴があり、ここにがんができると視力や生命予後に影響を及ぼす可能性があります。
どれくらい珍しい病気なの?
脈絡膜悪性黒色腫は、非常にまれな病気です。
日本では年間の発症数が少なく、眼科医でも一生に数例しか経験しないこともあります。
ただし、
- 目にできる悪性腫瘍の中では最も多い
という特徴があります。
どんな症状が出る?
初期にはほとんど症状がないことが多いのが、この病気の怖い点です。
進行すると、次のような症状が出ることがあります。
- 視力が低下する
- 視野の一部が欠ける
- 物がゆがんで見える
- 黒い影や光が見える
- 片目だけ見え方がおかしい
痛みが出ることは少なく、「なんとなく見えにくい」という程度で見逃されることもあります。
なぜ起こるの?原因は?
はっきりした原因は、現在のところわかっていません。
ただし、次のような要因が関係していると考えられています。
- メラニン色素細胞の異常
- 遺伝的要因
- 高齢(中高年以降に多い)
皮膚の悪性黒色腫と違い、紫外線との直接的な関係ははっきりしていません。
どうやって見つかる?
多くの場合、
- 健康診断
- 眼底検査
- 視力検査
などで偶然見つかります。
診断には、
- 眼底検査
- 超音波検査
- MRIやCT
などを組み合わせて行います。
目の中の腫瘍は生検(組織を取る検査)が難しいため、画像検査で診断することが多いのが特徴です。
転移のリスクがある病気
脈絡膜悪性黒色腫で特に重要なのが、転移のリスクです。
このがんは血管が豊富な場所にできるため、
- 肝臓
- 肺
- 骨
などに転移することがあります。
特に肝転移が多いことが知られています。
治療はどうするの?
治療は、
- 腫瘍の大きさ
- 位置
- 視力への影響
- 転移の有無
などを考慮して決められます。
主な治療法は次の通りです。
- 放射線治療
- 視力を残しながら腫瘍を抑えることを目的とします。
- レーザー治療
- 小さな腫瘍に使われることがあります。
- 手術(眼球摘出)
- 大きな腫瘍や視力温存が難しい場合に選択されます。
近年は、できるだけ眼球を残す方向で治療が行われるケースが増えています。
早期発見がとても重要
脈絡膜悪性黒色腫は、
- 早期に見つかれば視力を守れる可能性が高い
- 転移リスクも下げられる
という特徴があります。
そのため、
- 定期的な眼科検診
- 片目だけの見え方の変化を放置しない
ことが非常に重要です。
まとめ
脈絡膜悪性黒色腫は、目の奥にできるまれながら重い病気です。
初期症状が少ないため発見が遅れやすい一方、早期に見つかれば治療の選択肢は広がります。
「見え方がおかしい」「片目だけ違和感がある」と感じたら、年齢に関係なく早めに眼科を受診することが大切です。
目の病気ですが、全身に関わる病気でもあるという意識を持つことが、早期発見につながります。