はじめに
世界の多くの国がメートルやキログラムを使っている中で、アメリカだけはいまだにマイルやポンドを使い続けています。
「どうして世界基準に合わせないの?」「不便じゃないの?」と疑問に思ったことがある人も多いでしょう。
実はこれには、単なる意地や保守性だけでなく、歴史的背景や制度、国民性が深く関係しています。
ここでは、アメリカがマイル・ポンドを使い続ける理由をわかりやすく整理していきます。

距離をマイル、重さをポンドと表す理由
アメリカで距離がマイル、重さがポンドで表される理由は、イギリス植民地時代の名残によるものです。
アメリカは独立以前、イギリスの統治下にあり、当時イギリスで使われていたヤード・ポンド法の単位をそのまま引き継ぎました。
1マイルは1,760ヤード(約1.6km)という定義も、イギリスの陸上用マイルに由来します。
その後、道路標識、地図、土地の区画、鉄道網など、社会インフラのすべてがマイル基準で整備されました。
このため、後からメートル法に切り替えると莫大なコストがかかることになり、現在までマイル表記が維持されています。
重さについても同様で、アメリカで使われているポンドは、日常用の「常衡(アボワデュポワ)重量法」に基づくものです。
これはイギリス由来の単位で、食品や体重、商取引に広く使われています。
一方で、アメリカは法的にはメートル法を認めており、科学・医療・軍事・宇宙開発の分野では完全にメートル法が使われています。
つまりアメリカは「メートル法を使っていない国」ではなく、「生活ではヤード・ポンド法が定着している国」なのです。

まとめ
アメリカでマイルやポンドが使われ続けている理由は、単に「変えていないから」ではなく、イギリス植民地時代に導入されたヤード・ポンド法が、道路や土地制度、産業、日常生活の隅々まで深く根付いてしまったためです。
後からメートル法に完全移行しようとすると、道路標識や法律、教育、産業インフラの全面的な見直しが必要になり、莫大なコストがかかります。そのため、実用上の不都合が少ない分野では、従来の単位が維持されてきました。
一方で、メートル法を拒否しているわけではありません。
科学、医療、軍事、宇宙開発などの分野では、国際標準であるメートル法が完全に使われています。
つまりアメリカは「メートル法を使わない国」なのではなく、「生活の単位としてはヤード・ポンド法が定着している国」だと言えるでしょう。