はじめに
「ちゃんこ」と聞くと、具だくさんの鍋料理を想像する人が多いかもしれません。
ところが相撲部屋では、鍋に限らず日々の食事全体を「ちゃんこ」と呼ぶことがある、とも言われています。
つまり、力士が口にする食事がまとめて「ちゃんこ」と表現されることがある、というイメージです。
では、なぜ力士の食事は「ちゃんこ」と呼ばれるようになったのでしょうか。
実はこの言葉の由来にはいくつか説があり、「これが唯一の正解」と断定しにくい部分もあります。
この記事では、ちゃんこの基本的な意味を押さえつつ、相撲部屋の食事文化や背景にも触れながら、「ちゃんこ」という言葉がどのように使われ、広まってきたのかをわかりやすく紹介します。

全てが「ちゃんこ」
相撲力士の食事といえば「ちゃんこ鍋」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。ちゃんこ鍋は、相撲部屋で日常的に食べられている料理のひとつで、栄養価が高く、大人数で作りやすいことから広く定着してきました。
味付けにはしょうゆ味・塩味・味噌味・キムチ風・水炊きなどさまざまな種類があり、使われる具材も部屋や時代によって異なります。
「これが入っていなければ、ちゃんこ鍋とはいえない」
といった明確な決まりはなく、野菜や肉、魚、豆腐、うどんなど、その時々で工夫されているのが特徴です。
さらに重要なのは、「ちゃんこ」という言葉が鍋料理だけを指すものではないという点です。相撲部屋では、力士が口にする食事全般を「ちゃんこ」と呼ぶことがあり、極端に言えば、ハンバーガーやラーメン、ピザであっても、それを力士が食べれば「ちゃんこ」と表現される場合があります。
このように「ちゃんこ」は料理名というよりも、相撲部屋における食事そのものを表す言葉として使われてきた側面があるのです。
「ちゃんこ」の由来
「ちゃんこ」という言葉は相撲界の用語として長く使われてきましたが、その語源についてははっきりと一つに定まっているわけではありません。現在では、いくつかの説が伝えられています。
ちゃんこ番説
もっともよく知られているのが、「ちゃんこ番」から来ているという説です。相撲部屋では、弟子の中から食事作りを担当する「ちゃんこ番」が選ばれ、日々の料理を任されていました。
この「ちゃんこ番」が作る料理が、次第に「ちゃんこ」と呼ばれるようになり、やがて相撲部屋の食事全体を指す言葉として定着していったと考えられています。
大きな中華鍋説
もう一つの説として、長崎では大きな中華鍋のことを「ちゃんこ」と呼んでいたという話があります。巡業で長崎を訪れた力士たちが、その鍋を使った料理を「ちゃんこ」と認識し、その呼び名が広まったという説です。
どちらの説も相撲文化と生活に根ざしたものであり、当時の相撲部屋の環境を想像すると、自然に生まれた呼び方だったとも考えられます。

まとめ
ちゃんことは、相撲力士が食べる鍋料理を指す言葉として知られていますが、実際には力士が口にする食事全般を表す言葉として使われてきた側面があります。
その由来については、料理担当である「ちゃんこ番」から来たという説や、大きな中華鍋の呼び名が広まったという説など、いくつかの考え方が伝えられています。ほかにも親子が一緒に食べる料理を意味する言葉から来ている、という説が語られることもあります。
このように、「ちゃんこ」という言葉には明確な一つの正解があるというよりも、相撲部屋の暮らしや文化の中で自然に育まれてきた背景があると言えるでしょう。知ってみると、ちゃんこ鍋を食べるときの見方も、少し変わってくるかもしれませんね。