動物 雑学

自由で気まぐれな猫は誰が最初に飼った?人と猫の出会いと家畜化の歴史

はじめに

現在、ペットは家族の一員であり、生活に寄り添う存在として大切にされています。中でも犬や猫は、身近な動物として多くの人に親しまれています。

その一方で、猫は自由気まぐれで人に従わない印象を持たれがちな動物です。にもかかわらず、なぜ人は猫と共に暮らすようになったのでしょうか。

猫を最初に飼ったのはどのような人々で、猫はどのようにして人間社会に溶け込んでいったのか。その歴史をたどっていきます。

くつろぐ猫

古代エジプトは「猫を神聖な存在として体系的に飼育した最古の文明のひとつ」

猫と人の関係は非常に古く、紀元前2494〜2345年頃のエジプト第5王朝時代の遺跡から、首輪をつけた猫が描かれた壁画が見つかっています。
これが、現時点で確認されている中でも猫を飼育していた最古級の記録とされています。

さらに、紀元前1275年頃のデール・エル・メディナの墓地壁画には、人の膝に乗り、衣服にじゃれる子猫の姿が描かれていました。
この描写から、猫が単なる害獣駆除の存在ではなく、人の生活に寄り添う存在として扱われていたことがうかがえます。

猫はその後、古代エジプトから地中海沿岸、ヨーロッパ、アジアへと広まり、中国へ伝わったと考えられています。
中国では、仏典や書物をネズミの被害から守る目的で、猫が飼われるようになったという説があります。

そして仏教の伝来とともに、経典を守る役割として猫が船に乗せられ、日本にも猫を飼う文化が伝えられたと考えられています。

リビアヤマネコが最初に飼われた猫

現在のイエネコの祖先は、リビアヤマネコであると考えられています。
リビアヤマネコは、北アフリカや中東の乾燥地帯に生息する野生の猫で、外見は現代のキジトラ猫によく似ています

人と猫の距離が縮まった背景には、農耕の発展があります。
人が穀物を蓄えるようになると、それを狙ってネズミが集まり、結果としてネズミを捕食する猫が人の生活圏に近づきました。

こうして猫は害獣を駆除する存在として受け入れられ、次第にその行動や姿が人に好まれ、愛玩動物としての側面を持つようになったと考えられています。

キジトラ猫

日本では弥生時代から飼われていた可能性

日本における猫の歴史は、長らく平安時代以降と考えられてきました。
実際、『古事記』や『万葉集』といった初期文献には猫の記述が見られません。
猫が文献に登場する最古の例は、平安時代の『日本霊異記』とされています。

しかし、長崎県壱岐市のカラカミ遺跡から、イエネコとみられる骨が発掘されました。
この発見により、日本には約2100年前、弥生時代にはすでに猫が存在していた可能性が示唆されています。

当時の猫は、現在のような愛玩目的ではなく、穀物をネズミや害虫から守るための存在として飼われていたと考えられています。

高貴な身分の人が飼っていた

日本では長い間、犬のほうが身近な家畜でしたが、平安時代になると猫は徐々に愛玩動物として扱われるようになります。

当時、猫は数が少なく貴重だったため、主に貴族など高い身分の人々に飼われていました

第66代天皇である一条天皇は、特に猫を溺愛していたことで知られています。
飼い猫に位を与えたという記録も残っており、その特別な扱いがうかがえます。

また、飼い猫が子を産むと、人の出産と同様に「産養い」という祝いを行ったとされます。
これは、生後9日目までの奇数日に行われる祝い事で、猫が家族に近い存在だったことを示しています。

気持ちよく寝そべっている猫

まとめ

猫は、古代エジプトをはじめとする文明の中で早くから人と共に暮らしてきた動物です。
日本では平安時代以降に愛玩動物としての側面が強まりましたが、考古学的には弥生時代までさかのぼる可能性も示されています。

当初はネズミなどの害獣を駆除する役割が中心でしたが、次第にその行動や外見が人の心を惹きつけ、特別な存在へと変化していきました。

気まぐれで自由な性質を持ちながらも、人と距離を保ちながら共存してきた猫は、これからも私たちの生活に寄り添い続ける存在であり続けるでしょう。

なお、猫の家畜化の時期や経路については諸説あり、現在も研究が進められています。

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