はじめに
現代では「癌(がん)」は非常に身近な病気ですが、「昔の人は癌にならなかったのでは?」「癌は最近になって増えた病気なのでは?」
と疑問に思う人もいるかもしれません。
結論から言うと、癌は昔から存在していた病気です。
ただし、過去の社会では今ほど目立たず、記録にも残りにくかったため、「なかった病気」のように感じられているだけなのです。
本記事では、癌の歴史と、なぜ昔はあまり知られていなかったのか、そして現代で癌が増えたように見える理由について解説します。

昔の時代にも癌は存在していた
癌は決して最近発見された病気ではなく、古代から存在していたことが分かっています。
古代エジプト(約4000年前)
紀元前2500年頃の医学文書「エーベルス・パピルス」には、乳房にできる治らない腫瘍についての記述があり、現在の癌に相当する病変と考えられています。
当時すでに「切除しても治らない病」と認識されており、癌が古代から存在していたことを示しています。
古代ギリシャ・ローマ時代
紀元前4世紀頃、医学の父と呼ばれるヒポクラテスは、腫瘍が蟹の足のように広がる様子から「カルキノス(蟹)」という言葉を用いて癌を説明しました。
ここから、現在の「cancer(英語)」という名称が生まれています。
昔はなぜ癌が目立たなかったのか?
平均寿命が短かった
最大の理由は寿命の短さです。
江戸時代の日本人の平均寿命はおよそ30〜40歳前後と推定されています。
当時は感染症、栄養不足、事故などで若くして亡くなる人が多く、癌が発症しやすい高齢期まで生きる人が少なかったのです。
癌は「老化と深く関係する病気」であるため、長生きできなければ目立ちませんでした。
診断技術が未発達だった
現代のような
- X線
- CT
- MRI
- 内視鏡
といった診断技術は存在しませんでした。
体内に腫瘍があっても、「腹痛」「衰弱」「原因不明の病」として扱われ、死因が癌だと特定されることはほとんどなかったのです。
癌という概念が一般化していなかった
昔は病気の多くが
- 呪い
- 体液の乱れ
- 体質
といった考え方で説明されていました。
そのため、癌という病気が「一つの明確な疾患」として広く認識されていなかった点も大きな理由です。
近代になって癌が増えた理由
寿命が大幅に延びた
現代の日本では、平均寿命が
- 男性:約81歳
- 女性:約87歳
まで延びています。
高齢になるほど細胞の異常が蓄積し、癌の発症率は高くなります。
つまり、癌が増えたというより、癌になる年齢まで生きられる人が増えたのです。
診断技術の進歩
医療技術の発展により、以前は見つからなかった小さな癌や初期の癌も発見できるようになりました。
結果として、統計上「癌患者が増えた」ように見えています。
生活習慣・環境の変化
現代では、
- 喫煙
- 飲酒
- 食生活の変化
- 運動不足
- 環境汚染
など、癌のリスクを高める要因が増えているのも事実です。
ただし、「昔は癌がなかった」というより、現代の生活環境が癌を起こしやすい側面を持っていると考えるほうが正確です。
まとめ
癌は決して最近発見された病気ではなく、古代から存在していた病気です。
昔は
- 平均寿命が短かった
- 診断技術が未発達だった
- 癌という概念が一般化していなかった
といった理由から、癌が目立たなかっただけでした。
現代では寿命が延び、医療技術が進歩したことで、癌が多く認識されるようになっています。
だからこそ、定期的な健康診断や生活習慣の見直しによって、「早期発見・早期対処」を意識することが重要になっているのです。