雑学 歴史

ドライヤーのない時代、髪の毛が長い人はどうやって乾かしていたのか?

はじめに

現代ではお風呂上がりにドライヤーで髪を乾かすのが当たり前ですが、電気のない時代にはそのような便利な道具は存在しませんでした。
特に日本の平安時代には、女性が髪を腰や足元まで伸ばす習慣があり、毎日の手入れには多くの時間と労力をかけていたとされています。

では、そんな時代の人々はどのようにして髪を乾かしていたのでしょうか?
今回は、ドライヤーがなかった時代の髪の乾かし方や、長い髪を保つための工夫についてご紹介します。

ドライヤーで神を乾かす女性

平安時代の女性と髪の美学

平安時代の女性たちにとって、長く美しい黒髪は理想の美の象徴でした。
貴族の女性たちは「垂髪(すいはつ)」と呼ばれる髪型で、まっすぐに伸ばした髪を背中から足元まで垂らしていたとされます。

このような髪を保つには、洗髪だけでなく乾燥や手入れにも細心の注意を払う必要がありました。
記録によると、洗髪は毎日ではなく、数日に一度から数週間に一度程度の頻度で行われていたようです。
そのため、乾かす工程も時間をかけて丁寧に行われていたと考えられます。

乾かし方の工夫

ドライヤーの代わりに用いられていたのは、自然の風や日光、または室内の暖かさです。
洗髪後は、縁側や屋内の陽の当たる場所で髪を広げ、時間をかけて自然乾燥していました。
髪が長ければ長いほど乾くのに時間がかかり、半日以上かかることも珍しくなかったようです。

また、火鉢や囲炉裏のそばに座り、温かい空気で髪を乾かすという方法も使われていたといわれています。
ただし、火のそばに長くいると髪が乾燥しすぎて傷んでしまうため、あくまで温風を利用する程度だったと考えられます。

髪を乾かす間には、木製のくしで丁寧に梳かしながら風を通すことで、乾きやすくし、つややかな髪を保つ努力も行われていました。

髪を清潔に保つための工夫

当時は今のようなシャンプーは存在せず、米のとぎ汁や植物の灰を水に溶かした液体、木の灰を利用した天然の洗浄剤を使っていたとされています。
これらの自然素材は頭皮や髪に優しく、適度な潤いを残しながら清潔を保つことができました。

さらに、香木や香料を髪に焚きしめることで、香りを付けるとともに、髪のべたつきを防ぐという工夫もされていたようです。
これにより、洗髪の回数が少なくても、清潔感と見た目の美しさを保っていたのです。

十二単の女性

まとめ

ドライヤーのない時代でも、人々は自然の力や工夫によって髪を乾かし、長く美しい髪を保っていました。特に平安時代の女性たちは、自然乾燥と時間をかけた丁寧なケアによって、髪を美しく維持していたのです。

現代のように便利な道具がなかったからこそ、日々の暮らしの中に時間と手間を惜しまない文化が育まれていたことがわかります。長い髪を愛で、大切に扱うその姿勢には、現代人が見習うべき部分もあるかもしれません。

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